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男性側の薬剤の妊娠への影響について

一般的に、男性に投与された薬剤が妊娠に与える影響は非常に少ないと考えられています。
まず、精液中の精子の約20%はもともと形態的には奇形です。
理論上は、薬剤の影響を受けた精子は受精能力がなくなるか、(いても受精できない)あるいは受精しても着床ができなかったりして正常な妊娠の成立ができない可能性が高いといわれています。また、もし、出生にいたった場合には遺伝子や染色体の問題はありうりますが、奇形といったような形態的な異常の可能性は少ないといわれています。
また、精子が精巣で作られる期間はだいたい74日(+−5日程度)といわれており、もし薬剤が影響するとしたら、授精前後約3ヶ月以内に投与された薬剤に注意が必要です。
いいかえれば、精子は射精の直前にはすでに完成され蓄えられているので、授精の1,2日前に服用した薬などはあまり影響はないのではないかといわれています。
ただし、ごく一部の薬剤は影響を与える可能性があるといわれています。
以下に、男性生殖器へ薬剤が与えるといわれている影響と、妊娠に対する影響の可能性がある薬剤と避妊期間などについてまとめてみました。

男性が避妊を注意すべき薬剤

種類 一般名
(商品名)
男性への注意事項 避妊期間
角化症治療薬 エトレチナート
(チガソン)
動物実験で、精子形成能に異常 投与中及び投与中止後少なくとも6ヶ月間
抗ウィルス薬
(C型肝炎治療薬)
リバビリン
(コペガス、レベトール)
精巣・精子の形態変化などが報告されている、精液中への移行否定できず 投与中及び投与中止後少なくとも6ヶ月間
抗ウィルス薬
(抗サイトメガロウィルス薬)
ガンシクロビル
(デノシン)
動物実験で、通常用量で不可逆的な精子形成機能障害をおこすことが示唆されている 投与中及び投与中止後90日間
バルガンシクロビル
(バリキサ)
本剤の活性代謝物であるガンシクロビルを用いた動物実験で、通常用量で不可逆的な精子形成機能障害をおこすことが示唆されている 投与中及び投与中止後90日間
抗真菌薬
グリセオフルビン
(グリセオフルビンSG、グリセチンV、ポンシルFP)
高用量での動物実験で、初代精母細胞において染色体の異常分離を誘発したと報告 投与中及び投与中止後少なくとも6ヶ月間
眼瞼痙攣治療薬 A型ボツリヌス毒素
(ボトックス)
投与中及び投与中止後少なくとも3ヶ月間)
免疫抑制薬 アザチオプリン
(アザニン、イムラン)
動物実験で、精子形成不全、精子数低下などが報告されている 投与中
免疫抑制薬
(抗リウマチ剤)
メトトレキセート
(リウマトレックス
投与中及び投与中止後少なくとも3ヶ月間)
レフルノミド
(アラバ)
動物実験で胎児に異常はみられなかったが、リスクを最小限にするために投与中止及び薬物除去を考慮 投与期間中
抗悪性腫瘍薬 三酸化砒素
(トリセノックス)
動物実験で、精子形成能に異常を起こすことが報告されている 投与期間中及び最終投与後少なくとも3ヶ月
タミバロテン
(アムノレイク)
動物実験で、精子形成能に異常を起こすことが報告されている 投与期間中及び最終投与後6ヶ月間
その他 サリドマイド(未承認薬) 精液に移行する可能性あり 治療開始4週間前から治療終了後4週間後まで
抗悪性腫瘍薬(アルキル化剤など) テストステロン(男性ホルモン)低下や、精子産生障害による無精子症
ベンゾジアゼピン系の中毒 精巣の萎縮
抗不整脈薬(アミオダロン)、大麻 テストステロン(男性ホルモン)低下、性欲減退
免疫抑制剤(シクロスポリン) 精液量の減少
持続性サルファ剤(サラゾスルファピリジン) 精子数減少・運動能力低下
H2受容体拮抗薬(シメチジン)の大量投与 性欲低下
通風治療薬 コルヒチン
(コルヒチン)
父親が服用した場合、その配偶者より、ダウン症候群及びその他の先天異常時が出生する可能性があるとの報告がある。(動物実験で、精巣毒性を起こすことが報告されている)

男性生殖器に影響を与えやすい薬剤

男性が服用して胎児に影響を与える可能性のある薬剤